株式会社マネーフォワード
『マネーフォワード クラウド』などのSaaS事業

日本
上場
東京証券取引所 3994
参照資料
2026年11月期 第2四半期(中間期)決算短信・決算説明資料(2026年7月13日公表)

事業者向けのバックオフィス業務クラウドを中心に、課金顧客からの継続課金をARRとして積み上げ、価格改定やARPA向上で売上を伸ばしている事例です。

事業の概要

株式会社マネーフォワードは、2026年11月期 第2四半期(中間期)決算短信で、事業者向けサービスのBusinessセグメント、個人向けサービスのHomeセグメント、金融機関・事業会社向けのXセグメント、ベンチャーキャピタル事業のFinanceセグメントの4セグメントで事業を運営していると説明しています。Businessセグメントの中心は、バックオフィス向けの業務効率化クラウドソリューション『マネーフォワード クラウド』です。

収益の仕組み

決算説明資料では、Businessセグメントの売上を「ストック売上(法人)」「ストック売上(個人事業主)」「トランザクション/フロー売上」に分けて示しています。ストック売上は、サービスの課金収入です。同社は継続収益の指標としてSaaS ARRを開示しており、月末時点のストック収入合計(MRR)を12倍して算出すると定義しています。Homeセグメントでは、家計簿・資産管理サービス『マネーフォワード ME』のプレミアム課金収入をARRに含めています。

公開資料から読み取れること

  • 2026年11月期 中間期の売上高は28,992百万円(前年同期比24.8%増)、SaaS ARRは47,669百万円(同34.2%増)でした(決算短信)。
  • SaaS ARRのうち、Businessセグメントの法人向けは36,765百万円(同36.4%増)、個人事業主向けは3,124百万円(同19.2%増)、Homeのプレミアム課金は4,017百万円(同30.2%増)です(決算短信)。
  • 決算説明資料では、第2四半期の法人課金顧客の純増数が+13,971社、法人顧客解約率が1.0%(3か月平均)/0.8%(12か月平均)、法人ARPAが前年同期比+12.3%と示されています。
  • 同社は2025年6月にSMB(中小企業)領域で価格改定を実施し、解約率が想定を下回ったため、通年のARRへの影響は当初想定の20億円を上回る24億円で着地したと説明しています(決算説明資料)。
  • 中間期の営業損益は209百万円の損失、調整後EBITDAは5,094百万円でした(決算短信)。

新規事業への示唆

この事例は、サブスクリプションの状況を「ARR」「課金顧客数」「顧客あたり単価(ARPA)」「解約率」に分解して開示しています。新規事業でも、売上の総額だけでなく、この4つを分けて追うと、成長が顧客数の増加によるものか単価の上昇によるものかを区別できます。

一般論として、値上げは解約の増加を招く可能性があるため、価格改定の前に想定解約率を置き、改定後に実績と比べる手順が有効です。また、営業損益が赤字でもEBITDAやARRを併せて示すことで、先行投資の段階にある事業の状態を説明しやすくなります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。