PayPal Holdings, Inc.
PayPal・Venmo・Braintreeなどの決済サービス

アメリカ
上場
Nasdaq PYPL
参照資料
FY2025(2025年1〜12月)Form 10-K

消費者と事業者をつなぐ決済ネットワークを運営し、決済金額に応じて主に受け取り側から手数料を得る、世界規模の決済会社です。

事業の概要

PayPalは、「PayPal」「Venmo」「Braintree」「Xoom」などの決済サービスを提供する会社です。10-Kによると、Venmoは米国で友人・家族間の送金に使われるデジタルウォレットです。FY2025(2025年1〜12月)のForm 10-Kによると、同社は消費者と事業者をつなぐ世界規模の両面ネットワークを運営しており、2025年12月31日時点のアクティブアカウント数は約200の市場で4億3,900万でした。

同10-Kによると、2025年の決済総額(TPV)は1.79兆ドル(前年比7%増)、決済件数は254億件(同4%減)でした。

収益の仕組み

同10-Kは、売上を「取引収益(Transaction revenues)」と「その他付加価値サービス収益」の2つに分けています。取引収益は、主に顧客がプラットフォーム上で支払いを受け取る際の手数料で、固定部分と、支払額に対する一定率の変動部分があるとしています。通貨換算を行う取引や、国をまたぐ取引などでは追加の手数料を得ていると説明しています。その他付加価値サービス収益には、パートナーシップ、紹介手数料、サブスクリプション料、ゲートウェイ手数料、消費者・事業者向け融資の金利や手数料などが含まれます。

公開資料から読み取れること

  • 2025年の売上高は331億7,200万ドル(前年比4%増)で、うち取引収益が297億9,800万ドル、その他付加価値サービス収益が33億7,400万ドルでした。売上の約9割が取引収益です。
  • 決済総額に対する売上の比率は約1.9%です(10-Kの売上高とTPVから計算)。一方で、決済手段の提供元(カード会社など)に支払う取引費用は159億8,700万ドルで、TPVに対する取引費用率は0.89%と開示されています。取引・与信損失率は0.10%でした。
  • 同10-Kは、取引収益の伸び(3%)がTPVの伸び(7%)を下回った主な理由として、商品や加盟店の構成の変化と、為替ヘッジの影響を挙げています。Braintreeでは収益性を重視した交渉により、2025年前半は取扱量と取引収益が減ったと説明しています。
  • 2025年の営業利益は60億6,500万ドル、純利益は52億3,300万ドルでした。

新規事業への示唆

決済事業は、取扱高が大きくても、売上から決済手段の原価を引いた差額が実質的な取り分になります。PayPalの開示のように、取扱量の伸びと売上・利益の伸びが一致しないことがあり、どの取引を取りにいくか(利益率の高い取引か、量の多い取引か)の選択が収益を左右します。決済を組み込む新規事業では、料率だけでなく原価率と不正損失率まで含めて採算を試算することが大切です。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。