Elastic N.V.
Elasticsearch/Elastic Cloud
- 国
- オランダ
- 上場
- NYSE ESTC
- 参照資料
- FY2026(2025年5月〜2026年4月)Form 10-K
検索・分析エンジンElasticsearchの中核部分をオープンソースで公開し、有償機能を含むサブスクリプションとクラウドサービスで売上の9割超を得ている事例です。
事業の概要
Elastic N.V.はオランダで設立された企業で、NYSEに上場しています(Form 10-K、FY2026〔2026年4月30日終了年度〕)。同社のプラットフォームの中核は、分散型のリアルタイム・ベクトルデータベース兼分析エンジンであるElasticsearchと、そのユーザーインターフェースであるKibanaです。検索・AI、オブザーバビリティ、セキュリティのソリューションを提供し、自社運用のソフトウェアとしても、クラウドサービスとしても利用できます。
同10-Kによると、ソフトウェアの大半をAGPLのオープンソースライセンスと独自ライセンスのもとで公開リポジトリで開発しています。2024年11月12日には、Elasticsearch と Kibana の無償部分のライセンスの選択肢にAGPLを加えました。
収益の仕組み
同10-Kは、ビジネスモデルを主に、有償のクラウドサービス(Elastic Cloud Hosted、Elastic Cloud Serverless)と、無償・有償の独自機能を含む自社運用ソフトウェア(Elastic Self-Managed)の組み合わせと説明しています。
- ソフトウェアをダウンロードする利用者には一部の機能を無償で提供し、幅広い開発者コミュニティとの接点をつくる
- 有償の提供はリソースに基づく価格設定のサブスクリプションで販売し、機能によって段階(ティア)を分ける
- 自社運用のサブスクリプションには、独自機能の利用権と、オープンソース部分と独自機能の両方に対するサポート・保守が含まれる
同社は、無償版と別に企業版を作らず、単一のコードベースを維持していると説明しています。
公開資料から読み取れること
- FY2026の売上高は1,739百万ドル(前年比17%増)で、サブスクリプションが94%を占めました(同10-K)。
- Elastic Cloudは売上高の48%(FY2025は46%、FY2024は43%)を占めています(同10-K)。
- 2026年4月30日時点の顧客数は約24,000社で、年間契約額10万ドル超の顧客は1,720社超、100万ドル超の顧客は240社超でした。純拡大率(Net Expansion Rate)は約112%です(同10-K)。
- リスク要因として、AWSなどのクラウド事業者が、以前オープンソースで公開していた機能を含むフォーク版をもとにしたサービスを提供し、競合していると記載しています(同10-K)。
新規事業への示唆
無償公開で利用者を広げ、本番利用や運用の手間を省く有償サービス(特にクラウド)で収益化する流れが、数字の推移から確認できます。一方で、ソースを公開すると他社も同じソフトウェアでサービスを提供できるため、ライセンスの選択と有償部分の線引きが事業上の重要な判断になることも、同社のライセンス変更の経緯から読み取れます。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。