HP Inc.
プリンター本体とインク・トナーなどのサプライ(Printing事業)

アメリカ
上場
NYSE HPQ
参照資料
Form 10-K(FY2025、2025年10月31日終了年度)

プリンター本体を販売し、その本体で繰り返し使われるインク・トナーなどのサプライからプリンティング事業売上の約3分の2を得ている事例です。

事業の概要

HP Inc.は、パソコンなどのPersonal Systems、プリンターなどのPrinting、Corporate Investmentsの3つの報告セグメントを持つ企業です。Form 10-K(FY2025、2025年10月31日終了年度)によると、Printingセグメントは個人向け・法人向けのプリンター本体、サプライ(消耗品)、ソリューション、サービスを提供しています。

収益の仕組み

同社はPrintingの売上を、法人向けプリンター本体などのCommercial Printing(サプライを除く)、家庭向けプリンター本体などのConsumer Printing(サプライを除く)、Suppliesの3つに分けて開示しています。10-KではSuppliesを、インクやレーザーのカートリッジから産業用・3Dプリンティング用のサプライまでを含む、個人向け・法人向けのハードウェアで繰り返し使われる(for recurring use)消耗品と定義しています。

また同社は、個人・中小企業向けにInstant Ink ServicesやHP All-In Planなどのサブスクリプション型のソリューションを、大企業向けにManaged Print Servicesを提供することを長期的な重点としています。

公開資料から読み取れること

  • FY2025の全社売上高は552億9,500万ドル、Printingセグメントの売上高は167億200万ドル(前年比3.7%減)、営業利益率は18.7%でした。
  • Printingの内訳は、Supplies 109億1,600万ドル、Commercial Printing 46億3,300万ドル、Consumer Printing 11億5,300万ドルで、Suppliesがセグメント売上の約65%を占めます。
  • Suppliesの売上は前年比3.4%減で、同社はその主な要因を稼働しているプリンターの台数(installed base)と使用量の減少、為替の影響と説明しています。
  • プリンター本体の販売台数は4.2%減でした。
  • 同社は、Printingの課題として、顧客行動の変化や、模倣品・詰め替え品・再生品といった純正以外のサプライとの競争を挙げています。

新規事業への示唆

この事例では、本体の売上よりも、稼働中の本体で使われる消耗品の売上が大きくなっています。同時に、消耗品売上は稼働台数と使用量に連動するため、本体の販売台数や印刷量が減ると消耗品も減るという、この型の弱点も資料から読み取れます。

一般論として、レイザー&ブレードの新規事業では、本体の販売台数だけでなく、稼働台数と1台あたりの使用量を指標に置く必要があります。また、互換品への流出を前提に、純正品を選ぶ理由や、定額サービスのような継続利用の仕組みを用意しておくことが、売上を安定させる手段になり得ます。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。