株式会社kubell
ビジネスチャット「Chatwork」
- 国
- 日本
- 上場
- 東証グロース 4448
- 参照資料
- 2026年12月期 第2四半期 決算説明資料(2026年8月14日公表)
中小企業向けビジネスチャットを期限なしの無料プランで提供し、利用が進むと有料プランに移る「フリーミアム」モデルとして会社自身が説明している事例です。
事業の概要
株式会社kubellは、ビジネスチャット「Chatwork」を中心とするSaaSドメインと、業務代行サービスなどのBPaaSドメインで事業を展開しています。2026年12月期 第2四半期 決算説明資料では、Chatworkを国内利用者数No.1のビジネスチャットと紹介し、有料ユーザーのうちユーザー数ベースで300人未満の契約が96.8%(2026年6月末時点)を占めると説明しています。
収益の仕組み
同資料に掲載された料金表では、Chatworkはフリー(0円)、スタンダード(1ユーザー月額700円、年間契約)、プロフェッショナル(同1,200円、年間契約)のプランがあります。フリープランには、組織外のコンタクト数が1ユーザーあたり20人まで、閲覧できるメッセージが直近40日以内、1組織あたり100ユーザーまで、といった制限があります。
同社は、Chatworkを「無料で期限がなく使い続けられ、活用が進むことで有料となる"フリーミアム"モデル」で提供していると説明しています。また、無料プランがあることで取引先や顧客にも気軽に勧められる点を特徴に挙げています。成長戦略としてはPLG(プロダクト・レッド・グロース)モデルを掲げ、紹介やマーケティングで無料ユーザーを獲得し、その利用データから有料化しやすいユーザーを抽出して営業が提案する流れを示しています。
公開資料から読み取れること
2026年12月期 第2四半期 決算説明資料(2026年6月末時点)によると、次のとおりです。
- Chatworkの登録ID数は823.1万(前年同期比+6.2%)、課金ID数は84.9万(同+3.3%)でした。単純に割ると、課金IDは登録IDの約1割にあたります。
- 課金IDあたりの平均単価(ARPU)は734.5円(同+1.8%)、課金ID解約率は1.17%と開示されています。
- 全社のARRは102.3億円(同+17.3%)、SaaSドメインのARRは79.2億円(同+6.4%)でした。
- 同社は、社内(チーム・部署)と社外(取引先・パートナー)の二重のネットワーク効果によって導入が広がり、有料化やライセンス追加が連鎖的に進むと説明しています。
新規事業への示唆
この事例は、無料プランの制限を「社外の連絡先の数」「閲覧できる期間」「組織内の人数」に置き、使い込むほど有料プランが必要になる設計を公開しています。フリーミアムを検討する新規事業では、どの制限が有料化のきっかけになるかを具体的に決めることが重要です。
一般論として、共有や招待によって利用者が広がるサービスでは、無料版が営業担当者の代わりに新規顧客を連れてくる役割を果たします。その場合でも、登録数だけでなく、課金数、単価、解約率を分けて追うことで、無料利用者の増加が売上につながっているかを確かめられます。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。