Otis Worldwide Corporation
エレベーター・エスカレーターの保守・修理・改修(Serviceセグメント)

アメリカ
上場
NYSE OTIS
参照資料
Form 10-K(FY2025、2025年12月期)

エレベーターの新設よりも、約250万台の保守契約や修理・改修を担うServiceセグメントが売上の65%、セグメント営業利益の91%を占めている事例です。

事業の概要

Otis Worldwide Corporationは、エレベーター、エスカレーター、動く歩道の製造・据付・保守・改修を行う企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)では、事業をNew Equipment(新設機器)とService(サービス)の2つのセグメントに分けています。New Equipmentは、住宅・商業施設・インフラ向けの機器を設計・製造・販売・据付します。Serviceは、保守・修理と、古くなった機器を更新するモダニゼーション(改修)を担います。

収益の仕組み

Serviceセグメントは、自社製品に加えて他社製の機器も対象にした保守・修理サービスを提供しています。10-Kによると、同社の保守対象は世界で約250万台で、約3万7,000人のサービス技術者が1,400を超える支店・事業所から顧客に対応しています。

保守契約には、法令に沿った点検を行う基本的な契約から、部品交換まで含む包括的な契約まで段階があります。同社は保守対象を増やす方法として、新たに据え付けた機器を保守契約に移すこと、他社の保守を受けている機器を獲得すること、買収の3つを挙げています。また、サービスの顧客(建物のオーナーや管理会社など)は、新設機器の購入を決めた人とは異なることが多いと記載しています。

公開資料から読み取れること

  • FY2025の売上高は144億3,100万ドルでした。New EquipmentとServiceは、売上高のそれぞれ35%と65%、セグメント営業利益のそれぞれ9%と91%を占めました。
  • Serviceセグメントの売上高は94億4,200万ドル(前年比6%増)、営業利益率は25.1%でした。
  • New Equipmentセグメントの売上高は49億8,900万ドル(前年比7%減)、営業利益率は4.8%でした。
  • Serviceのオーガニックな増収率は5%で、内訳は保守・修理が4%、モダニゼーションが9%です。
  • 同社は、機器は時間とともに摩耗して機能が低下するため、顧客と協力してモダニゼーションで更新を支援していると説明しています。

新規事業への示唆

この事例では、機器の販売よりも、据え付けた後の保守・修理・改修のほうが売上・利益の大部分を占めています。機器の販売は、将来の保守契約の対象を増やす入口としての役割も持っていることが、同社の説明から読み取れます。

一般論として、長く使われる設備を扱う新規事業では、納入後の保守契約への移行率や、保守対象の台数、保守部門の利益率を早い段階から指標に置くことが有効です。一方で、全国的な技術者網のように、保守を担う体制の構築には時間と固定費がかかるため、提携先の活用も含めて計画する必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。