さくらインターネット株式会社
「さくらのクラウド」などのクラウド・インフラサービス

日本
上場
東証プライム 3778
参照資料
2027年3月期 第1四半期決算短信・決算説明資料(2026年7月28日公表)

国産のクラウドやGPU基盤、レンタルサーバなどを提供し、従量課金制のクラウドを含むストック型収益をARRとして開示している事例です。

事業の概要

さくらインターネット株式会社は、クラウド・インターネットインフラサービスを提供する企業です。2027年3月期 第1四半期決算短信では、システムインテグレーションから開発、クラウド・インターネットインフラサービスの提供、保守、運用、サポートまでをグループ内でワンストップで提供し、顧客の「やりたいこと」の実現を支援することを目指していると説明しています。また、ガバメントクラウドの正式採択や生成AIサービスの拡大を契機に、新たな顧客の獲得を進めているとしています。

収益の仕組み

同社はサービスを「クラウドサービス」(クラウドインフラストラクチャー、クラウドアプリケーション)、「GPUインフラストラクチャーサービス」、「物理基盤サービス」(ハウジング、専用サーバなど)、「その他サービス」に分けて売上を開示しています。

決算説明資料では、ストック型収益を示す指標としてARRを開示しており、対象はさくらインターネット単体のクラウド、VPS、レンタルサーバサービスです。その注記で「クラウドは従量課金制だが、定額制に準じて算出」と記載しており、主力のクラウドが利用量に応じた料金体系であることが分かります。

公開資料から読み取れること

  • 2027年3月期 第1四半期(2026年4〜6月)の売上高は11,134百万円(前年同期比48.6%増)、営業利益は1,230百万円(前年同期は457百万円の営業損失)でした(決算短信)。
  • 内訳は、クラウドサービス3,975百万円(同7.5%増)、GPUインフラストラクチャーサービス4,718百万円(同245.9%増)、物理基盤サービス708百万円(同11.7%減)、その他サービス1,732百万円(同6.4%増)です(決算短信)。
  • 同社はGPUインフラストラクチャーサービスの増収について、前期に追加投資したGPUと既存GPUの高稼働が寄与したと説明しています。
  • 第1四半期末のARRは15,579百万円(前年同期比8.9%増)でした(決算説明資料)。
  • 通期の売上高予想は45,000百万円から45,500百万円に上方修正されています(決算説明資料)。

新規事業への示唆

この事例は、従量課金のクラウドを、毎月の利用実績から「定額制に準じて」年換算したARRで示しています。従量課金の新規事業でも、月ごとの売上のぶれとは別に、継続的な利用の大きさを示す指標を定義しておくと、社内外に事業の土台を説明しやすくなります。

一般論として、計算資源を貸し出す事業では、設備への先行投資の回収が稼働率に左右されます。新規事業で設備を伴う従量課金を検討する場合は、稼働率の前提と、稼働率が下がった場合の損益を事前に試算しておくことが重要です。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。