課金・収益の型

従量課金

利用した量や回数、時間に応じて料金を受け取る型で、顧客は使った分だけ払い、提供側の売上は顧客の利用拡大とともに増えます。

仕組み

従量課金は、データの処理量、保存容量、通信量、API(ソフトウェア同士をつなぐ窓口)の呼び出し回数、利用時間など、実際に使った量に応じて料金を決める型です。電気・ガス・水道の料金や携帯電話のデータ通信と同じ考え方で、クラウドサービスや決済、配送などで広く使われています。

純粋な従量課金のほか、一定量をあらかじめ購入してもらい使った分を差し引く前払い型、基本料金に超過分の従量料金を足す二段階型、年間の利用量を約束してもらう代わりに単価を下げる契約型などの組み合わせがあります。

収益の上がり方

売上は「顧客数 × 顧客1社あたりの利用量 × 単価」で決まります。最大の特徴は、既存顧客の利用が増えればそのまま売上が増える点です。小さく使い始めた顧客が、効果を確かめながら利用範囲を広げていくと、新たな営業活動をしなくても売上が伸びます。顧客にとっても最初の支払いが小さく済むため、導入の敷居が下がります。

一方で、売上の見通しは立てにくくなります。定額のサブスクリプションと違い、顧客が利用を減らせば売上もすぐに減ります。景気の悪化で顧客がコスト削減に動いたときや、提供側の技術改善で同じ処理に必要な量が減ったときにも、売上が下がることがあります。

見るべき指標

  • 顧客あたりの利用量とその推移
  • 売上継続率(NRR):既存顧客の売上が前年から何%になったか
  • 大口顧客の数と売上に占める割合
  • 利用量あたりの原価(粗利率)
  • 契約で約束された将来の売上(前払い型・契約型の場合)

向いている事業・注意点

顧客ごとの利用量の差が大きい事業、利用量と顧客が得る価値が比例しやすい事業に向いています。たとえばデータ処理やクラウドの計算資源、通信、決済処理などです。

注意点は三つあります。第一に、顧客にとって請求額が予測しにくいため、上限設定や利用状況の見える化がないと不安や不満につながります。第二に、原価も利用量に比例して増える事業では、単価と原価の差を常に確認する必要があります。第三に、売上が月ごとにぶれるため、計画と実績の差をどう説明するかをあらかじめ決めておく必要があります。

新規事業で使うとき

従量課金を選ぶ前に、「顧客が価値を感じる単位」と「自社の原価が発生する単位」がそろっているかを確かめます。両者がずれていると、売上は増えているのに利益が出ない状態になります。価格の単位の選び方は新規事業の価格の決め方、ほかの収益モデルとの比較は収益モデルの種類と選び方も参考にしてください。

立ち上げ期は、無料枠や少額から試せる設計にして利用開始の障壁を下げ、利用が増えた顧客には年間契約で単価を下げる提案を用意する、という二段構えが取りやすい方法です。事業計画では、顧客数の増加と顧客あたり利用量の増加を分けて見積もると、前提の妥当性を検証しやすくなります。

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