Snowflake Inc.
データ基盤「AI Data Cloud」

アメリカ
上場
NYSE SNOW
参照資料
Form 10-K(FY2026、2026年1月31日終了年度)

データの保存・処理基盤を、計算・保存・データ転送の消費量に応じて売上計上する従量型で提供し、既存顧客の利用拡大を成長の柱にしている事例です。

事業の概要

Snowflake Inc.は、企業がデータを一か所に集めて分析し、AIの活用やデータアプリケーションの構築、データの共有を行うためのクラウド上のプラットフォーム「AI Data Cloud」を提供しています。Form 10-K(FY2026、2026年1月31日終了年度)によると、2026年1月31日時点の顧客数は13,328社(前年は10,996社)でした。

収益の仕組み

同社は自社の事業を消費量に基づく(consumption-based)ビジネスモデルと説明しています。顧客は計算(compute)、保存(storage)、データ転送の資源を使い、同社は原則として消費に応じて売上を計上します。10-Kでは、契約期間にわたって均等に売上を計上するサブスクリプション型とは異なる、と明記しています。

契約形態は二つあります。一つは、一定量の消費を指定価格で約束する「キャパシティ契約」で、期間は通常1〜4年、売上の大半はこの契約から得ています。FY2026に締結したキャパシティ契約の加重平均期間は約3.1年です。もう一つは、利用分を月ごとに後払いで請求する「オンデマンド契約」です。約束した量を超えて消費した場合は追加分が請求されます。

公開資料から読み取れること

  • FY2026の売上高は46億8,390万ドル(前年比29%増)、うちプロダクト売上は44億7,230万ドルで売上の95%を占めました。
  • 同社はプロダクト売上の増加の主な要因を既存顧客の消費拡大とし、その根拠として売上継続率(net revenue retention rate)125%(2026年1月31日時点)を挙げています。
  • 過去12か月のプロダクト売上が100万ドルを超える顧客は733社(前年は576社)で、プロダクト売上の約68%を占めました。
  • 残存履行義務(RPO)は約97億7,000万ドルでした。
  • 同社は、顧客が消費のタイミングを自由に選べるため、一般的なサブスクリプション型のソフトウェア企業ほど売上計上の時期を見通せないとリスク要因で述べています。FY2026の純損失は13億ドルでした。

新規事業への示唆

この事例は、従量課金でも、一定量を事前に約束してもらう契約と、使った分だけ後払いする契約を併用することで、顧客の導入のしやすさと売上の見通しの両方を確保しようとする設計を示しています。

一般論として、従量課金の事業では、新規顧客の獲得に加えて既存顧客の利用がどれだけ増えるかが売上成長を左右します。新規事業でも、売上継続率や大口顧客の数と構成比を早くから追うと、成長の源泉を把握しやすくなります。一方で、顧客側の効率化や技術改善によって消費量が減る可能性も、計画の前提に含めておく必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。