Rolls-Royce Holdings plc
民間航空機エンジンと長期保守契約(TotalCareなど)

英国
上場
ロンドン証券取引所
参照資料
Annual Report 2025(2025年12月期)

英ロールス・ロイスは航空機エンジンを売るだけでなく、飛行時間に応じて料金を受け取る長期保守契約でエンジンの稼働を支えており、民間航空部門では売上の約7割をサービスが占めます。

事業の概要

Rolls-Royce Holdingsは、2025年の年次報告書(Annual Report 2025)で、民間航空(Civil Aerospace)、防衛(Defence)、パワーシステムズ(Power Systems)などの部門の業績を開示しています。同報告書は、ロンドン証券取引所に上場する英国企業としての報告義務にもとづいて情報を開示していると記載しています。民間航空部門は、大型機向けのTrentシリーズや、ビジネスジェット向けのエンジンを手がけています。

収益の仕組み

年次報告書の会計上の判断の説明では、TotalCareやCorporateCareといったアフターマーケット契約において、同社の主な義務は「顧客のエンジンを運用可能な状態に保つこと」であり、整備・修理・オーバーホールやエンジンのモニタリングを契約期間にわたって行うとしています。これらの長期保守契約(LTSA)は通常8〜15年で、顧客は通常、エンジンの飛行時間当たり(例:USD/EFH)の「使った分」で支払い、これはエンジンの摩耗と顧客自身の収入の流れに合っていると記載しています。収益は契約期間にわたり、発生した原価の進み具合にもとづいて認識します。

同社は、民間航空のエンジンの性能を高め、翼に付いたまま使える時間(time on wing)を延ばすために10億ポンドを投じていると説明しています。

公開資料から読み取れること

  • 2025年のグループの基礎的売上高(underlying revenue)は201億ポンド。
  • 民間航空部門の基礎的売上高は103億8,200万ポンドで、新品エンジン(OE)が32億1,700万ポンド、サービスが71億6,500万ポンド(サービスの比率は約69%、当方計算)。
  • 同部門の基礎的営業利益は21億3,000万ポンド、利益率は20.5%(2024年は16.6%)。増益の要因として、LTSAと都度請求(time and materials)の双方でのアフターマーケットの好調などを挙げています。
  • 大型エンジンのLTSAの飛行時間は1,700万時間(前年比8%増)、LTSAの工場整備(ショップビジット)は1,079回。
  • 採算の悪い契約の再交渉など、契約の採算改善を進めていると説明しています。

新規事業への示唆

製造業のサービス化では、「製品を売る」から「製品が使える状態を約束し、使った量に応じて受け取る」へと変わります。顧客は故障や整備費用の変動というリスクを減らせ、提供側は長期の収入を得る代わりに、故障率や整備コストの見積もりのリスクを負います。

契約期間が長いほど、当初の価格設定の誤りが長く残ります。価格の前提(稼働時間、整備の頻度、部品コスト)を定期的に見直し、契約の条件に反映できる仕組みを用意しておくことが大切です(新規事業の価格の決め方)。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。