Verisk Analytics, Inc.
損害保険業界向けデータ分析・統計代理サービス

米国
上場
NASDAQ Global Select Market VRSK
参照資料
FY2025(2025年1〜12月)Form 10-K

米国の損害保険会社から保険取引の明細データを集めて統計化し、分析ツールや保険約款、リスク評価として保険会社に年間契約で提供している事例です。

事業の概要

Verisk Analytics, Inc.は、グローバルな保険業界向けのデータ分析・テクノロジー企業です(Form 10-K、FY2025〔2025年1〜12月〕)。報告セグメントは「Insurance」の1つで、主に米国の損害保険(P&C)会社に対し、損失予測、リスクの選別と価格設定、規制当局への報告といった保険事業の基礎部分を支えるサービスを提供しています。

米国の損害保険会社は、事業を行う各州の規制当局に保険料や損失の統計データを報告する義務があります。同社は全50州などで認可を受けた「統計代理人(statistical agent)」として保険会社からデータを集約し、規制当局に報告しており、このサービスを50年以上提供していると説明しています(同10-K)。

収益の仕組み

同10-Kによると、収益はホスト型サブスクリプション、アドバイザリー・コンサルティング、取引ごとの課金によるソリューションから得ています。

  • サブスクリプションは通常1〜5年の契約で、毎年自動更新され、四半期ごとまたは期首に前払いされるのが一般的です。
  • 例として、標準化された保険約款の文言、保険金詐欺のデータベース、保険数理サービスへのアクセスが挙げられています。
  • 商業ビルの保険料算定用の物件情報照会など、取引ごとに課金するソリューションもあります。

FY2025の連結売上高のうち約83%(FY2024は約81%)がホスト型サブスクリプションによるものでした。

公開資料から読み取れること

  • FY2025の売上高は3,072.7百万ドルで、前年の2,881.7百万ドルから6.6%増えました。内訳はUnderwriting(引受)が2,179.9百万ドル、Claims(保険金支払)が892.8百万ドルです(同10-K)。
  • 2025年に損害保険会社から送られた保険取引の明細レコードは約36億件で、引受用データベースには389億件以上の統計レコードがあると記載しています(同10-K)。
  • 前払いのサブスクリプションが中心のため、同社は運転資本がマイナスの状態で事業を運営してきたと説明しています(同10-K)。

新規事業への示唆

規制上の報告義務という業界共通の業務を引き受けることで、業界の大半の企業から継続的にデータが集まる構造になっています。データを提供する側にとっても必要な業務であるため、データ収集の動機が自然に生まれる点が特徴です。新しくデータ事業を考える際、「業界各社が単独でやると手間がかかる共通業務」を入口にできないかを検討する材料になります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。