株式会社北の達人コーポレーション
北の快適工房(健康美容商品の自社EC直販)

日本
上場
東証 2930(札証にも上場)
参照資料
2026年2月期 決算短信

自社ブランドの化粧品・健康食品を主に自社ECサイトで販売し、広告で獲得した新規顧客の定期購入で回収する構造を独自の管理会計で開示している事例です。

事業の概要

北の達人コーポレーションは、自社オリジナルブランドの健康美容商品や美容家電等を販売する「ヘルス&ビューティーケア関連事業」を展開しています。2026年2月期決算短信によると、主力の「北の快適工房」では、顧客ニーズに対して効果を体感しやすいオリジナルブランドの化粧品や健康食品を、主にインターネット上で一般消費者向けに販売しています。40代以降が主な顧客層で、商品は基本的に1か月で使い切る設計で開発していると説明しています。

収益の仕組み

同短信によると、「北の快適工房」の主な獲得チャネルは、自社運営のECサイト経由の「自社サイト等」と、Amazonや楽天市場等の「ECモール」です。2026年2月期の売上高の約8割が自社サイト等によるものでした。

同社は自社サイト等について、先行する広告投資により初回収支はマイナスになるが、継続的に購入されることで収支がプラスになる定期購入型のビジネスモデルと説明しています。一方、ECモールは一度の購入で収支をプラスにする単品買い切り型としています。売上の約7割が定期顧客によって支えられているとしています。

同社は、売上総利益から「販売促進費等」(注文連動費と、ほとんどが広告宣伝費の新規獲得費)を差し引いた「販売利益」という管理会計上の指標を使い、広告の投資効率を開示しています。

公開資料から読み取れること

2026年2月期決算短信の数値は次のとおりです。

  • 連結売上高:112億1,025万円(前年比5.2%減)、営業利益10億99万円(同40.3%減)
  • 「北の快適工房」の売上高:100億2,857万円、販売利益39億4,325万円
  • 内訳:①新規獲得は売上高17億3,649万円に対し販売利益はマイナス18億5,754万円、初回ROASは64.0%。②定期及びその他は売上高64億1,067万円、販売利益47億8,217万円。③ECモールは売上高18億8,139万円、販売利益10億1,862万円
  • 自社サイト等の新規顧客獲得人数:前年同期比18%増

新規獲得の段階では赤字、定期購入の段階で利益という構造が、数字の上でも確認できます。同社は、生成AIを活用して広告クリエイティブの制作量と質を高めていると説明しています。

新規事業への示唆

定期購入型のD2Cでは、全体の損益だけを見ると、新規獲得を増やした期ほど利益が減って見えます。同社のように「新規獲得」と「継続」を分けて採算を示すと、広告投資が将来の売上を生んでいるのか、単に費用が増えているのかを判断しやすくなります。初回ROASのような指標をあらかじめ決めておき、どこまで広告費をかけてよいかの基準にすることは、新規事業の段階でも取り入れやすい方法です。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。