D2C(メーカー直販)
メーカーが卸や小売を通さず、自社のECサイトや直営店で消費者に直接販売し、顧客データと粗利を自社に残すビジネスモデルです。
仕組み
D2C(Direct to Consumer)は、商品を企画・製造する事業者が、自社ECサイトや直営店、SNSなどを通じて消費者に直接販売する型です。従来の「メーカー→卸→小売→消費者」という流れから中間の流通を外し、ブランドづくり、集客、販売、顧客対応までを自社で担います。
実際には、自社ECだけでなく、Amazonや楽天市場などのECモール、直営店、他社小売への卸を組み合わせる事業者も多く、「どこまで直販に寄せるか」は事業ごとに異なります。
収益の上がり方
中間流通の取り分がなくなる分、売上総利益率は高くなりやすい一方、その粗利の多くを広告費や販売促進費、物流費、店舗費用に使う構造になります。
特に健康食品や化粧品のような消耗品では、初回購入時は広告費で赤字になり、定期購入やリピート購入で回収する設計がよく見られます。この場合、損益は「新規顧客をどれだけ採算内で獲得できたか」と「獲得した顧客がどれだけ継続したか」の二つで決まります。
眼鏡やアパレルのように購入頻度が低い商品では、試着・体験の場として直営店を持ち、店舗とオンラインを組み合わせて売る形もあります。
見るべき指標
- CAC(顧客獲得単価)と初回ROAS(初回売上÷広告費)
- **LTV(顧客生涯価値)**と継続率、定期購入の継続月数
- アクティブ顧客数と顧客一人あたり売上
- 粗利から広告・販促費を引いた後の利益(事業者により「販売利益」「貢献利益」などと呼ぶ)
- 自社EC・モール・店舗のチャネル別売上構成
向いている事業・注意点
商品の違いを伝えやすく、継続購入や買い替えが見込める商品に向いています。顧客データを自社で持てるため、商品改善や広告の改善を速く回せるのが強みです。
注意点は、広告費への依存です。広告の反応は時間とともに落ちやすく、広告単価が上がると採算が一気に悪化します。定期購入を扱う場合は、特定商取引法の表示や解約条件の明示など、ルールの確認が欠かせません。
新規事業で使うとき
D2Cは小さく始めやすい一方、「売れるか」より先に「採算の合う単価で顧客を獲得し続けられるか」を確かめる必要があります。まずはランディングページや少量の広告で反応を測り、初回ROASと継続率の見込みから、どこまで広告費をかけられるかを逆算します。
需要の確かめ方はランディングページで需要を確かめるスモークテストの進め方、採算の考え方はユニットエコノミクス(LTV・CAC)の考え方、表示ルールはネット販売を始めるときの特定商取引法の表示を参照してください。
この型の事例
Warby Parker Inc. 眼鏡・コンタクトレンズ・眼科検査の直販(EC+直営店)
眼鏡を自社でデザインして処方レンズ込みの統一価格で消費者に直接販売し、ECと直営店を組み合わせて顧客数と店舗数を伸ばしている米国企業の事例です。
資料:FY2025(2025年12月期)Form 10-K
株式会社北の達人コーポレーション 北の快適工房(健康美容商品の自社EC直販)
自社ブランドの化粧品・健康食品を主に自社ECサイトで販売し、広告で獲得した新規顧客の定期購入で回収する構造を独自の管理会計で開示している事例です。
資料:2026年2月期 決算短信
株式会社サンリオ キャラクターライセンス事業(ハローキティなど)
『ハローキティ』などのキャラクターを他社商品に使う権利を国内外で許諾し、ロイヤリティ収入が連結売上高の約半分を占めるキャラクター企業です。
資料:2026年3月期 決算短信(2026年6月23日)