販売・流通の型

OEM・ODM(受託製造)

他社のブランドで販売される製品を、その会社の注文に応じて製造する型です。OEMは委託側の設計で作り、ODMは受託側が設計から担うのが一般的です。

仕組み

OEM・ODMは、自社ブランドではなく、顧客企業のブランドで売られる製品を作って納める型です。一般に次のように区別されます。

  • OEM:委託側(ブランドを持つ企業)が設計や仕様を決め、受託側が製造する。
  • ODM:受託側が設計・開発から製造までを担い、委託側のブランドで販売される。
  • EMS:電子機器の分野で、製造に加えて部品調達、試験、物流などを一括して請け負う形。
  • ファウンドリ:半導体の分野で、顧客が設計した回路をもとにウエハーの製造を請け負う形。

同じ会社が立場を変えることもあります。自社ブランドを持つメーカーが、工場の稼働を埋めるために他社製品を受託する場合や、逆に新規事業の製品を外部に委託して作る場合です。

収益の上がり方

受託側の売上は、製造した製品の代金です。価格は材料費と加工費(人件費・設備費)に利益を乗せて決めることが多く、材料費の比率が高い製品では粗利率が低くなりがちです。そのため、受託側は多くの顧客の注文を集めて工場の稼働率を上げ、固定費を薄めることで利益を出します。

設計力や製造技術で他社にない価値を出せる場合は、利益率を高く保てます。一方で、汎用的な組み立てだけを担う場合は価格競争になりやすく、顧客が自社生産に戻したり、他の受託先に切り替えたりするリスクがあります。

委託側から見ると、工場や設備を自前で持たずに製品を出せるため、初期投資と在庫の負担を抑えられます。

見るべき指標

  • 工場・設備の稼働率
  • 売上総利益率と、材料費・加工費の構成
  • 上位顧客への売上集中度(上位5社・10社の比率)
  • 顧客ごとの継続年数と、次の製品での再受注率
  • 設備投資額と、その回収見込み

向いている事業・注意点

受託側に向いているのは、製造技術や品質管理、認証・規制対応などで顧客が自前で持ちにくい能力を持つ企業です。委託側に向いているのは、ブランドや販路、企画に強みがあり、製造設備を持たずに製品数を増やしたい企業です。

注意点として、受託側は少数の大口顧客に依存しやすく、その顧客の製品の売れ行きで売上が大きく変わります。委託側は、製造のノウハウが社内にたまらず、品質問題の原因をつかみにくくなります。双方にとって、設計情報や製造条件の知的財産の帰属、最低発注量、不良時の責任分担を契約で決めておくことが重要です(開発会社との契約の注意点(請負と準委任))。

新規事業で使うとき

新規事業で物を作る場合、最初から工場を持つのではなく、OEM・ODMで少量から始めるのが一般的な選択肢です。発注先を選ぶ際は、最小ロット、試作の費用と期間、品質基準、量が増えたときの対応力を比べます。考え方はソフトウエア開発の外注と共通する部分が多く、MVP開発を外注するときの発注先の選び方と見積もりの読み方も参考になります。

逆に、既存の工場や技術を持つ企業が受託を新規事業にする場合は、「どの顧客層の、どの工程を、他社よりうまく担えるか」を明確にし、特定顧客への依存度に上限を設けて営業先を広げる計画を立てておくことが大切です。

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