販売・流通の型

予約販売・クラウドファンディング型

商品やサービスを完成・量産する前に購入や支援、出資を募り、集まった資金と反応をもとに作る量や事業化を決める販売の方法で、作り手と場の運営者の二つの立場がある型です。

仕組み

予約販売・クラウドファンディング型は、「作ってから売る」順番を「売ってから(または資金を集めてから)作る」に入れ替える型です。この型には二つの立場があります。

  • 作り手として使う:自社の新商品を予約販売やクラウドファンディングで先に売り、代金を受け取ってから量産・提供する。
  • 場を運営する:作り手と購入者・支援者・投資家をつなぐプラットフォームを運営し、成立した取引から手数料を得る。

クラウドファンディングには、商品やサービスを返礼として受け取る購入型、見返りを求めない寄付型、株式などを受け取る投資型があり、投資型は金融商品取引法の規制を受けます。資金の受け渡し方式には、目標額に届いた場合だけ成立する方式と、目標に届かなくても集まった分で実行する方式があります。

収益の上がり方

作り手として使う場合、代金が先に入るため、材料費や製造費を借入に頼らず賄いやすくなります。また、何個売れたかが分かってから製造量を決められるので、売れ残りの在庫リスクを減らせます。一方で、手数料、返礼品の発送費、広告費がかかり、利益はその分目減りします。

場を運営する場合、収益の中心は成立した取引額に対する手数料です。そのため収益は「掲載件数×成立率×1件当たりの金額×手数料率」で決まります。掲載の支援、広告配信の代行、終了後の販売チャネルの提供など、付随サービスで収益を加える運営者もあります。

見るべき指標

作り手の立場では次の指標を見ます。

  • 目標額に対する達成率と、1人当たりの購入・支援額
  • 購入者の獲得単価(広告費÷購入者数)
  • 予約から量産・発送までの原価と納期の実績

運営者の立場では次の指標を見ます。

  • 流通総額(取扱高)と手数料率
  • 掲載件数、成立率、1件当たりの金額
  • 作り手・購入者のリピート率

向いている事業・注意点

向いているのは、試作段階でも魅力を伝えられる新商品、熱心な支持者が付きやすいもの、量産に初期費用がかかるものです。飲食店の会員権や宿泊券など、サービスの先行販売にも使われています。

注意点は、代金を受け取った後に「約束どおり作って届ける」責任が生じることです。量産でのトラブルや納期遅れは、ブランドへの信頼を大きく損ないます。予約販売は通信販売にあたるため、特定商取引法の表示なども必要です(ネット販売を始めるときの特定商取引法の表示)。また、クラウドファンディングで売れたことは、支持者が集まった結果であり、一般の売り場で同じように売れることを保証するものではありません。

新規事業で使うとき

新規事業では、この型は資金調達の手段であると同時に、需要検証の手段として使えます。ランディングページで反応を見るスモークテストより一歩進んで、実際にお金を払う人がいるかを確かめられるためです(ランディングページで需要を確かめるスモークテストの進め方)。

実施の前に、目標額の根拠(最小ロットの製造費など)、返礼の原価と送料、手数料を差し引いた手取り、達成しなかった場合の判断を決めておきます。方式の違いはクラウドファンディングの種類と使い分けにまとめています。場を運営する事業を考える場合は、作り手への審査と支援にかかる人手を、手数料収入で賄えるかを早い段階で試算してください。

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