楽天グループ株式会社
楽天エコシステム(楽天ID・楽天ポイント)

日本
上場
東証 4755
参照資料
2025年度(2025年12月期)通期決算説明会資料

EC、フィンテック、モバイルなど多数のサービスを共通の楽天IDと楽天ポイントでつなぎ、サービス間の相互利用を重要指標として追っている事例です。

事業の概要

楽天グループは、インターネットサービス(「楽天市場」、トラベルなど)、フィンテック(カード、銀行、証券、決済、保険)、モバイル(楽天モバイル)の3セグメントで事業を展開しています。2025年度通期決算説明会の補足資料では、これらのサービス群を「楽天エコシステム」と呼び、主要KPIとして月間アクティブユーザー数、2サービス以上利用ユーザー比率、メンバーシップバリューを示しています。

収益の仕組み

各サービスがそれぞれ手数料、金利、通信料などで収益を上げ、楽天IDと楽天ポイントがサービス間の利用をつなぐ構造です。補足資料では、2サービス以上利用ユーザー比率を「楽天ポイントが獲得可能なサービスの利用」に限って算出しています。

また、同社独自KPIの「メンバーシップバリュー」は、アクティブユーザー数×クロスユース×(LTV−顧客獲得費用)で算出すると説明されています。その注記では、マーケティング費用を「広告費用+プロモーション費用+ポイント費用」と定義しており、ポイントが顧客維持の費用として扱われていることが分かります。

公開資料から読み取れること

2025年度(2025年12月期)の決算説明会資料によると、次のとおりです。

  • 連結売上収益:2兆4,966億円(前年比9.5%増)。連結Non-GAAP営業利益は1,063億円
  • 日本国内の月間アクティブユーザー数:4,560万人(2025年12月、前年同期比3.4%増)
  • 2サービス以上利用ユーザー比率:77.3%(2025年12月末時点)
  • メンバーシップバリュー:10.0兆円(Q4/25、前年同期比4.2%増)。同社は初の10兆円到達と説明
  • グローバル取扱高:48.7兆円(2025年度)
  • 国内EC流通総額:6兆3,452億円(前年比3.9%増)

プレゼンテーション資料では、2025年12月からUber社およびUber Eats社との楽天ID連携を開始し、決済手段にかかわらず楽天ポイントを付与すると説明しています。自社グループ外のサービスにもIDとポイントの接点を広げていることが読み取れます。

新規事業への示唆

ポイント・会員経済圏では、ポイントの付与額そのものより、会員がいくつのサービスを使っているか、会員一人あたりの価値がどう変わったかを追うことが重要です。楽天のように、クロスユース率や独自のLTV指標を定義し、ポイント費用を顧客維持の費用として扱う考え方は、規模は違っても応用できます。新規事業で既存の会員基盤を使える場合は、新サービスの利用者のうち既存会員がどれだけいるかを測ると、経済圏としての効果を確かめやすくなります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。