製品・サービス提供の型

バンドル・クロスセル

複数の製品やサービスをまとめて提供したり、既存顧客に別の製品を追加で販売したりして、1顧客あたりの売上と継続率を高めるビジネスモデルです。

仕組み

バンドルは、複数の製品・サービスを1つのセットとして、個別に買うより分かりやすい価格で提供する方法です。クロスセルは、すでに1つの製品を使っている顧客に、関連する別の製品を追加で買ってもらう方法です。どちらも「新しい顧客を探す」より「今いる顧客との取引を広げる」ことに重点を置きます。

提供の形には、次のような違いがあります。

  • スイート型: 最初から複数機能を1つの契約に含める
  • 段階追加型: 必要な製品を1つずつ追加できるようにし、製品間でデータ連携させる
  • 上位プラン型: 基本プランに機能を加えた上位プランへ切り替えてもらう(アップセル)

収益の上がり方

既存顧客は信頼関係や導入済みのデータ・アカウントがあるため、新規顧客より少ない販売費用で追加の売上を得られることが多くなります。価格面では、セット価格を個別価格の合計より低くして「まとめて買う理由」をつくる方法と、機能を段階的に追加するごとに料金が上がる方法があり、顧客の予算の決め方に合わせて選びます。1顧客あたりの売上(ARPA、ARPU)が上がると、顧客獲得費用を回収するまでの期間が短くなります。

また、複数の製品を業務に組み込んだ顧客は、1つだけ解約するより全体を入れ替える手間が大きくなるため、解約が起きにくくなる傾向があります。

見るべき指標

  • 1顧客あたり利用製品数・課金製品数
  • 1顧客あたり売上(ARPA/ARPU)の推移
  • 売上継続率(既存顧客からの売上が1年でどれだけ増減したか)
  • 製品ごとの利用率(セットに含めても使われていない機能はないか)
  • 新規顧客獲得費用と、既存顧客への追加販売費用の比較

向いている事業・注意点

同じ顧客の同じ業務の中で、隣り合う課題を解ける製品を複数持てる事業に向いています。会計と請求と経費精算、文書作成と表計算とメールのように、データや作業がつながっている領域が典型です。

注意点は次のとおりです。

  • セットに含めた機能が使われないと、顧客は割高感を持ち、更新時に値下げや解約を求めます。
  • 製品間の連携が弱いと、セットで買う理由がなくなります。
  • 市場で強い立場にある企業が製品を抱き合わせる場合、競争法上の問題になることがあります。

新規事業で使うとき

新規事業では、まず1つの製品で明確な課題を解き、顧客が定着してから2つ目の製品を追加する順番が基本です。最初から多くの製品を並べると、どれも中途半端になりがちです。

2つ目の製品を選ぶときは、既存顧客へのヒアリングで「今の製品の前後でどんな作業に困っているか」を聞くと候補が見つかりやすくなります。セット価格の考え方は新規事業の価格の決め方、既存顧客の定着と拡大はカスタマーサクセスの始め方解約率(チャーン)の見方と改善を参照してください。

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