ポイント・会員経済圏
共通の会員IDとポイントで複数のサービスをつなぎ、ポイントの付与と利用を通じて顧客の継続利用とサービス間の相互利用を促すビジネスモデルです。
仕組み
ポイント・会員経済圏は、一つの会員IDとポイントを軸に、買い物、決済、金融、通信、メディアなど複数のサービスを束ねる型です。利用者はどのサービスを使ってもポイントがたまり、たまったポイントを別のサービスで使えます。
大きく分けて二つの形があります。
- 自社グループ型:自社や自社グループが提供する複数のサービスを共通IDとポイントでつなぐ形
- 提携・媒介型:ポイントを発行する事業者が、広告主や提携店から費用を受け取り、利用者にポイントとして還元する形(ポイントサイトや共通ポイントなど)
どちらも、ポイントを「値引き」ではなく、利用者を次の利用やほかのサービスへ誘導する仕掛けとして使う点が共通しています。
収益の上がり方
ポイント自体は費用です。収益は、ポイントによって生まれる取引から得ます。
- 利用者が複数のサービスを使うことで、一人あたりの売上や継続期間が伸びる
- 新しいサービスを始めるとき、既存会員に案内することで顧客獲得費用を抑えられる
- 提携・媒介型では、広告主や加盟店が支払う掲載料・手数料の一部をポイントとして還元し、差額が収益になる
付与したポイントのうち将来使われる見込みの分は、会計上は負債(引当金など)として計上されるのが一般的で、ポイント施策を強めるとこの残高が膨らみます。
見るべき指標
- アクティブ会員数:一定期間に実際に利用した会員の数
- クロスユース率:二つ以上のサービスを使っている会員の割合
- 会員一人あたりの売上・利益と継続率
- ポイント費用の売上比、ポイント負債(引当金)の残高推移
- 提携・媒介型では、ポイント交換先の構成と、広告主側の成果(申込件数など)
向いている事業・注意点
利用頻度の高いサービスを持ち、それを入口に他のサービスへ広げられる事業に向いています。単一サービスしかない場合は、ポイントは単なる値引きになりやすく、効果が限られます。
注意点は、ポイント還元率の競争に巻き込まれやすいこと、還元条件の変更が利用者の反発を招きやすいこと、会員データの扱いに個人情報保護法上の配慮が要ることです。景品表示法などの規制も確認が必要です。
新規事業で使うとき
新規事業では、いきなり自前のポイントを発行するより、既存の共通ポイントや他社の会員基盤と連携するほうが現実的な場合が多くあります。大企業の新規事業では、既存事業の会員IDを使えるかどうかが立ち上げの速さを左右します。
設計時には「ポイント1円あたりで、どれだけの追加利用が生まれるか」を検証できるようにしておくことが大切です。顧客一人あたりの採算はユニットエコノミクス(LTV・CAC)の考え方、継続率の見方は解約率(チャーン)の見方と改善、会員データの扱いは新規事業での個人情報の取り扱いを参照してください。