シスメックス株式会社
検体検査機器と検査試薬・サービス(ダイアグノスティクス事業)
- 国
- 日本
- 上場
- 東京証券取引所 6869
- 参照資料
- 2026年3月期 決算短信・決算概要資料・通期決算説明会スクリプト(2026年5月公表)
血液や尿などの検体検査機器を医療機関や検査センターに設置し、その機器で使われる試薬とサービスから売上の7割超を得ている事例です。
事業の概要
シスメックス株式会社は、2026年3月期決算短信で、主に検体検査機器と検体検査試薬を製造・販売していると説明しています。ヘマトロジー、尿、血液凝固、免疫、ライフサイエンスなどの分野で製品を展開し、事業はダイアグノスティクス事業とメディカルロボット事業に分かれています。売上の約9割は海外で、米州、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、中国、アジア・パシフィックに地域統括会社を置いています。
収益の仕組み
売上は「機器」「試薬」「サービス」「その他」に分けて開示されています。医療機関や検査センターに検査機器を設置し、設置後は、その機器で検査を行うたびに使われる試薬と、機器に関するサービスが継続的な売上になります。
同社社長は、2026年3月期 通期決算説明会で血液凝固分野について「機器の稼働台数の増加に伴い、収益性の高い試薬売上が後から伸びてくる事業構造」と説明し、現在は機器の設置が先行している段階で、試薬売上の本格的な伸長はこれからと想定していると述べています。
公開資料から読み取れること
- 2026年3月期の売上高は500,006百万円(前期比1.7%減)、営業利益は51,831百万円(同40.8%減)でした(決算短信)。
- 品目別の売上高は、機器1,032.3億円(構成比20.6%)、試薬3,079.2億円(同61.6%)、サービス692.7億円(同13.9%)、その他195.7億円(同3.9%)で、試薬とサービスで売上の7割超を占めています(決算概要資料)。
- 中国の売上高は89,465百万円(前期比24.2%減)でした。同社は、医療費抑制政策の影響の拡大や代理店の経営悪化による在庫調整を要因に挙げています(決算短信、決算概要資料)。
- 同社は、EMEAの血液凝固分野について、機器設置台数の増加に伴い試薬売上の伸長を見込むと説明しています(決算概要資料)。
新規事業への示唆
この事例では、機器の設置が先に行われ、その後の試薬やサービスの売上が長く続く構造が、品目別の売上構成と経営者の説明の両方から読み取れます。機器の設置台数は、将来の試薬売上の先行指標になります。
一方で、中国の事例が示すように、顧客側の制度や価格政策の変化によって、設置済みの機器からの売上も大きく変わることがあります。一般論として、機器と消耗品を組み合わせる新規事業では、設置台数と稼働率に加えて、顧客が属する業界の制度変更の影響も前提に含めて計画を立てることが大切です。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。