IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)の要点と締切
IT導入補助金は、2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」として実施されており、2026年9月時点で申請を受け付けています。通常枠などの次の締切は2026年9月29日(火)17時、その後も10月30日、12月1日の締切が公表されています。ただし、補助の対象は事務局に登録された既製のITツールの導入費用であり、新規事業のプロダクトをゼロから開発する費用に使う制度ではない点を最初に押さえておいてください。
制度の概要
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が生産性向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する経費の一部を補助する制度です。公式サイトでは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が採択し、同機構と中小企業庁の監督のもとでTOPPAN株式会社が事務局を運営していると案内されています。公式サイトでは、この事業を「中小企業デジタル化・AI導入支援事業(旧:サービス等生産性向上IT導入支援事業)」と記載しており、「IT導入補助金2025」以前の案内も同じサイトから参照できます。
IT導入支援事業者との共同申請
この補助金の大きな特徴は、申請者が単独で申請するのではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と共同事業体となって申請する点です。補助対象になるのは、IT導入支援事業者が提供し、事務局に登録された「ITツール」(ソフトウェア、AIを含む、オプション、役務、ハードウェアの総称)です。
そのため、申請の流れは「導入したいツールを決める」「そのツールを扱う登録済みのIT導入支援事業者を探す」「一緒に申請する」という順番になります。
2026年9月時点の公募スケジュール
事務局の事業スケジュールページでは、交付申請の受付は2026年3月30日から始まっており、次の締切が公表されています(「確定している募集回のスケジュールのみ公表」とされています)。
通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠
| 締切回 | 締切日 | 交付決定日 | 状況(2026年9月18日時点) |
|---|---|---|---|
| 1次 | 2026年5月12日(火)17:00 | 2026年6月18日 | 締切済み |
| 2次 | 2026年6月15日(月)17:00 | 2026年7月23日 | 締切済み |
| 3次 | 2026年7月21日(火)17:00 | 2026年9月2日 | 締切済み |
| 4次 | 2026年8月25日(火)17:00 | 2026年10月7日(予定) | 締切済み |
| 5次 | 2026年9月29日(火)17:00 | 2026年11月9日(予定) | 受付中 |
| 6次 | 2026年10月30日(金)17:00 | 2026年12月10日(予定) | 今後 |
| 7次 | 2026年12月1日(火)17:00 | 2027年1月19日(予定) | 今後 |
5次締切分の事業実施期間は交付決定から2027年4月30日17時まで(予定)です。
複数者連携デジタル化・AI導入枠
| 締切回 | 締切日 | 交付決定日 |
|---|---|---|
| 1次 | 2026年6月15日(月)17:00 | 2026年7月23日 |
| 2次 | 2026年8月25日(火)17:00 | 2026年10月7日(予定) |
| 3次 | 2026年10月30日(金)17:00 | 2026年12月10日(予定) |
通常枠等の7次、複数者連携デジタル化・AI導入枠の3次より後の締切は、2026年9月時点で公表されていません。締切時刻を過ぎた申請は理由を問わず受け付けないとされており、締切直前は申請画面へのアクセスが集中するため、余裕を持った提出が求められています。
各枠の補助額と補助率
以下は通常枠の公募要領(2026年8月28日更新)に掲載された各枠の比較表に基づきます。
通常枠
| 補助額 | 機能要件 | 補助率 |
|---|---|---|
| 5万円〜150万円未満 | 1プロセス以上 | 1/2以内 |
| 150万円〜450万円以下 | 4プロセス以上 | 1/2以内 |
一定の条件(令和6年10月から令和7年9月の間で、地域別最低賃金近傍で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合)を満たすと補助率は2/3以内になります。補助対象は、ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費です。
インボイス枠(インボイス対応類型)
会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアの導入が対象です。
- ITツール:補助額は下限なし〜350万円(1機能のみの場合は上限50万円、2機能以上で上限350万円)。補助率は50万円以下の部分が3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分が2/3以内
- PC・タブレット等:〜10万円、補助率1/2以内
- レジ・券売機:〜20万円、補助率1/2以内
インボイス枠(電子取引類型)
発注側の事業者がインボイス制度に対応した受発注ツールを導入し、受注側の取引先に無償でアカウントを発行する場合が対象です。クラウド利用費について、下限なし〜350万円、補助率は中小企業・小規模事業者等が2/3以内、その他の事業者等が1/2以内です。
セキュリティ対策推進枠
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスの利用料(最大2年分)が対象です。補助額は5万円〜150万円、補助率は中小企業が1/2以内、小規模事業者が2/3以内です。
複数者連携デジタル化・AI導入枠
複数の事業者が連携して導入する枠で、基盤導入経費と消費動向等分析経費の補助上限額の合計は3,000万円とされています。対象や要件が他の枠と大きく異なるため、専用の公募要領を確認してください。
主な申請要件(通常枠)
通常枠の公募要領では、主に次の要件が定められています。
- 日本国内で法人登記され国内で事業を営む法人、または国内に補助事業の実施場所を持つ個人であること
- 中小企業・小規模事業者等の定義(業種ごとの資本金・従業員数の基準)に該当すること
- GビズIDプライムを取得していること
- IPAの「SECURITY ACTION」の「一つ星」または「二つ星」の宣言を行うこと
- 交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を策定し、1年後に労働生産性を3%以上向上させ、事業計画期間の労働生産性の年平均成長率を3%以上とすること(過去のIT導入補助金の一定の枠で交付決定を受けた事業者は4%以上)
- 申請額や過去の交付決定の有無に応じて、賃金引上げに関する要件(1人当たり給与支給総額の年平均成長率など)を満たすこと
申請額が150万円以上か未満か、過去にIT導入補助金を受けたかどうかで賃金関連の要件が変わるため、公募要領の別紙で自社に当てはまる要件を確認してください。
新規事業で使えるか
自社プロダクトの開発費には使えない
この補助金の対象は、事務局に登録されたITツールを導入する費用です。新規事業のMVPとして自社のアプリやサービスを開発会社に作ってもらう費用は、登録ITツールの導入には当たらないため、この補助金の想定する使い方ではありません。公募要領でも、たとえば予約受付台帳の項目で「顧客側画面を新規制作する費用は、スクラッチ開発に該当するため対象外」と明記されています。
MVPの開発を外部に依頼する場合の進め方は、MVP開発を外注するときの発注先の選び方と見積もりの読み方を参照してください。
新規事業の「運営側の仕組み」には使える可能性がある
一方、新規事業を運営するための業務ツール、たとえば顧客管理、会計、受発注、決済などの既製ソフトウェアやクラウドサービスの導入には、登録ITツールであれば使える可能性があります。自前で作るか既製品を使うかの判断はゼロから作るか、既存のパッケージを使うかの判断基準で扱っています。
大企業は対象外
対象は中小企業・小規模事業者等です。大企業の社内で進める新規事業には使えません。大企業の担当者が関わるとすれば、自社のサービスをITツールとして登録し、IT導入支援事業者として中小企業の導入を支援する立場になる場合です。
申請の注意点
- 交付決定前の契約・発注・支払いは対象外:交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った場合、補助金を受けられません。
- 補助対象外の経費がある:リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)、中古品、補助金申請・報告の代行費、消費税などは対象外です。
- 申請者自身が内容を理解する:申請はIT導入支援事業者と共同で行いますが、事業計画の数値や要件の達成責任は申請者にあります。導入後も、生産性向上に関する情報の報告が求められます。
- 採択後の実績報告まで見込む:事業実施期間内にツールの導入と支払いを終え、実績報告を行う必要があります。
資金調達全体の中での位置づけは新規事業のお金の集め方:社内予算・補助金・融資・出資も参考にしてください。
本記事は2026年9月時点の公式サイトと公募要領に基づいています。制度は改定されます。申請の前に必ず最新の公募要領と事務局の公式情報を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談してください。
参考資料
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