東京都の創業助成事業の要点:令和8年度第2回の日程・助成額・申請要件
東京都の創業助成事業は、都内で創業予定の個人や創業5年未満の中小企業者等に、賃借料、広告費、従業員人件費などの創業初期の経費の一部を助成する制度です。2026年9月時点では令和8年度第2回の募集要項が公開されており、申請受付は2026年9月29日(火)10時から10月8日(木)23時59分まで、Jグランツによる電子申請のみです。申請には指定された創業支援事業の利用などの要件があり、満たすのに時間がかかるため、今回の締切までに要件を満たせない場合は、今後の募集の案内を確認しながら準備を進めることになります。
制度の概要
東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する事業で、都内の開業率の向上を目的としています。窓口は公社の創業支援課(TOKYO創業ステーション)です。名称は「助成」ですが、書類審査と面接審査で助成事業者が選ばれる審査型の制度です。東京都の発表では、令和8年度の採択予定件数は年間200件とされています。
2026年9月時点の募集状況
| 項目 | 第1回 | 第2回 |
|---|---|---|
| 申請受付 | 2026年4月7日〜4月16日(受付終了) | 2026年9月29日(火)10:00〜10月8日(木)23:59 |
| 申請方法 | 電子申請(Jグランツ) | 電子申請(Jグランツ)のみ |
| 書類審査 | 2026年4月〜6月中旬 | 2026年10月〜12月上旬(結果は12月中旬頃にJグランツで通知) |
| 面接審査 | 2026年7月2日〜7月9日 | 2027年1月6日(水)〜1月14日(木) |
| 交付決定日 | 2026年9月1日 | 2027年3月1日(予定) |
第2回の申請書は2026年6月16日に、申請者用の電子申請マニュアルは9月15日に公開されています。日程はいずれも予定です。
助成額と助成率
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成限度額 | 上限400万円、下限100万円 |
| 内訳の上限 | 事業費と従業員人件費を対象とする助成金は300万円まで、委託費(市場調査・分析費)を対象とする助成金は100万円まで |
| 助成率 | 助成対象と認められる経費の3分の2以内 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から6か月以上、最長2年 |
事業費を必ず申請に含める必要があり、「従業員人件費のみ」「委託費のみ」「従業員人件費と委託費のみ」の申請はできません。
助成金は後払いです。助成対象期間が6か月を超える場合、6か月経過以降に実績を報告することで、1回に限り中間払を受けられます。
申請要件
申請には、要件1〜4をすべて満たす必要があります。
要件1:創業者等であること
申請書の受理時点で、次のいずれかに当てはまることが必要です。
- 都内での創業を具体的に計画している個人
- 法人登記から5年未満の法人の代表者(本店が都内に登記され、都内で実質的に事業を行っていること)
- 税務署への開業の届出から5年未満の個人事業主(納税地と主たる事業所等が都内にあること)
- 一定の要件を満たす特定非営利活動法人
次の方は申請できません。
- 個人事業主・法人の登記上の代表者としての経営経験が通算5年以上ある方(海外での経営経験や、別法人での代表者経験も含む)
- みなし大企業に該当する方
- 個人開業医の方(病院や診療所での医業としての申請)
一般社団法人・一般財団法人などは対象外で、申請できるのは中小企業基本法上の「会社」に当たる法人などです。
要件2:指定された創業支援事業を利用していること
募集要項では23の創業支援事業が指定されており、そのいずれかの要件を満たす必要があります。主なものは次のとおりです。
- TOKYO創業ステーションの「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援の終了(過去3か年の期間内に証明を受けたもの)
- 東京都のインキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設に、6か月以上継続して入居し支援を受けていること
- 東京都中小企業制度融資(創業)や、都内区市町村の創業者向けの信用保証協会保証付き制度融資の利用
- 都内区市町村の認定特定創業支援等事業による支援を受け、過去3か年の期間内に証明を受けたこと
- 政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)の利用
TOKYO創業ステーションのページでは、要件2を満たすには概ね3か月以上かかると案内されています。プランコンサルティングについても、要件を満たすには概ね3か月程度の時間が必要とされています。申請を考え始めたら、まずこの要件の準備から始めます。保証付き制度融資については信用保証協会の保証付き融資の基本で解説しています。
要件3・4:事業と納税の要件
主なものは次のとおりです。
- 都内で実質的に事業を行う拠点があり、法人は都内に本店登記、個人は都内に納税地があること。事業税・都民税を東京都に納めること
- 代表者以外が実質的な経営の指揮・命令を行っていないこと
- 他の事業の承継や譲渡ではないこと
- 助成金がなくても事業を実施できる資金計画であること、後払いを踏まえた資金計画であること
- 同一経費で他の助成金・補助金の重複を受けないこと
TOKYO創業ステーションのFAQでは、都内のバーチャルオフィスについて、それ以外に都内で実質的に事業を行う別の拠点がある場合は要件を満たすとされています。
助成対象経費
| 区分 | 経費 | 主な内容と注意点 |
|---|---|---|
| 事業費 | 賃借料 | 都内の事務所・店舗等の賃借料、器具備品のリース・レンタル料。バーチャルオフィスの利用料や会議室の単発利用などは対象外 |
| 事業費 | 広告費 | 広告掲載、パンフレット、展示会出展、ホームページ作成など。予約・決済などのシステム構築費用、オンラインショップの出店費用、商品開発の試作品の費用は対象外 |
| 事業費 | 器具備品購入費 | 1点あたり税込1万円以上50万円未満の、単体で機能する器具備品。中古品は対象外 |
| 事業費 | 産業財産権出願・導入費 | 特許権・実用新案権・意匠権・商標権の出願、譲渡、実施許諾の費用 |
| 事業費 | 専門家指導費 | 外部専門家からの助言・指導の手数料。書類作成代行や顧問契約は対象外 |
| 従業員人件費 | 従業員人件費 | 都内勤務の従業員の給与(正規従業員は1人月額35万円、パート・アルバイトは1人日額8,000円が限度)。代表者や役員の人件費は対象外 |
| 委託費 | 市場調査・分析費 | 外部専門業者に委託し、成果物が納品される市場調査・分析 |
対象になるのは、原則として助成対象期間中に契約・履行・支払が完了した経費です。賃借料と従業員人件費に限り、交付決定日より前に契約したものも対象になります。親会社・子会社などの関連会社や、親族が経営する会社との取引は対象外です。
新規事業で気をつけたい点
アプリやウェブサービスの開発費をまとめて助成してもらう制度ではありません。広告費の対象外の例として、予約・決済などを行うシステムの構築費用や有料会員サイトの構築費用が挙げられています。MVPの開発費は別の資金で手当てし、この助成金は事務所の賃料、広告、人件費など創業初期の運営経費に充てる、という考え方で計画を立てると整理しやすくなります。
審査の流れと視点
審査は、書類審査(形式審査・内容審査)、面接審査、総合審査の順に行われます。面接は代表者本人が会場に行き、日本語で行います。当日は申請時に提出した書類しか使えず、パソコンやサンプルの持込はできません。
募集要項が示す主な審査の視点は次のとおりです。
- 製品・商品・サービスの内容と価格設定、実施時期や場所を具体的に説明できているか
- 解決する社会課題、経営理念、ビジョンが明確か。自分の強み・弱みと補強方法が明確か
- 想定顧客、市場の規模・特徴・成長性、競合との差別化を把握しているか
- 収益の仕組み、調達ルート、販売戦略、リスクへの対応が適切か
- 経営計画が実現を見込める内容か、助成金がなくても事業を続けられる収支計画か
- 申請経費が事業計画に必要で、販売計画や収支と連動しているか
採択されると、法人名、代表者名、助成事業の概要などが公社のホームページで公開されます。
申請前の注意点
- 書類の不備で不通過になりやすい:TOKYO創業ステーションは、申請書の一部しかPDF化していない、確定申告書の一部が不足している、インターネットで取得した登記情報を提出した(法務局で発行した3か月以内の履歴事項全部証明書が必要)、納税証明書の種類や年度が違う、などを不備の多い例として挙げています
- GビズIDプライムを先に取る:Jグランツでの申請にはGビズIDプライムが必要で、発行の審査に1か月程度かかる場合があるとされています。準備は補助金の電子申請(jGrants・GビズID)の準備を参照してください
- 締切日のアクセス集中:締切日はJグランツへのアクセス集中が予想されるため、早めの提出が求められています
- 個人で申請して法人を設立する場合:助成対象期間中に法人を設立すると、交付決定の条件により助成金を受けられなくなります。第2回では、基準日(2027年1月5日)までに所定の条件を満たして法人を設立し、書類を提出すれば、交付決定は設立した法人に対して行われます
- 創業前の個人:個人事業の開業をもって事業開始とみなされるため、開業届を出す前に契約・支払った経費は対象になりません
本記事は2026年9月時点の東京都の発表、TOKYO創業ステーションの案内、令和8年度第2回募集要項に基づいています。制度は改定されます。申請の前に必ず最新の募集要項と公社の公式情報を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談してください。
参考資料
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