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信用保証協会の保証付き融資の基本:創業時に使える保証制度と申込の流れ

創業期に民間の金融機関から借りる場合、信用保証協会の保証を付けた「保証付融資」が選択肢になります。信用保証協会が保証人の役割を担うため実績の乏しい時期でも借りやすくなる一方、借りた本人の返済義務がなくなるわけではなく、信用保証料もかかります。この記事では、仕組み、利用条件、創業向けの保証制度、申込の流れを、2026年9月時点で全国信用保証協会連合会と中小企業庁の公式ページで確認できた範囲で説明します。

信用保証協会とは

信用保証協会は、信用保証協会法に基づいて設立された公的機関です。中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金を借りるときに保証人となり、資金調達を支援します。全国47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、申込先は原則として事業を営む地域を管轄する協会です。

信用保証制度は、事業者、金融機関、信用保証協会の三者で成り立っています。

  • 保証付融資:信用保証協会の保証が付いた融資です。返済が滞った場合、信用保証協会が借主に代わって金融機関に返済(代位弁済)します
  • プロパー融資:同じ金融機関からの融資でも、信用保証協会の保証が付かないものです

全国信用保証協会連合会は、プロパー融資と保証付融資を併用することで融資枠を広げられることを利用のメリットとして挙げています。取引実績の浅い事業者が融資を申し込むと、金融機関から保証付融資を求められることもあります。

代位弁済されても返済は続く

保証付融資でいちばん誤解されやすいのがこの点です。信用保証協会が代位弁済をすると、協会は事業者と保証人に対して、代位弁済した額を元本とする債権(求償権)を持ちます。つまり、返済先が金融機関から信用保証協会に移るだけで、借りたお金を返す義務は残ります。

全国信用保証協会連合会は、信用保証料は保険料ではなく、代位弁済が行われた後は事業者から協会へ返済してもらう、と明記しています。「保証が付いているから返せなくても大丈夫」という理解は誤りです。

利用できる事業者と資金

全国信用保証協会連合会によると、原則として中小企業信用保険法に定める中小企業・小規模事業者が対象で、次の3つの基準を満たす必要があります。

  1. 企業規模:業種ごとに定められた資本金または常時使用する従業員数のいずれかを満たすこと(例として、小売業・飲食業は資本金5,000万円以下または従業員数50人以下)。個人事業主は従業員数で判断します
  2. 業種:大半の商工業は対象ですが、農業、林業(一部を除く)、漁業、金融・保険業(一部を除く)は対象外です。許認可・届出が必要な事業は、それを受けていること(または受けること)が必要です
  3. 区域・業歴:原則として申込先の協会の管轄区域で事業を営んでいること。保証制度によっては業歴の要件があります

保証の対象は、事業経営に必要な運転資金と設備資金に限られます。

保証人と担保

連帯保証人が必要になる場合がありますが、法人代表者以外の連帯保証人は原則不要とされ、個人事業主の場合は連帯保証人は原則不要です。一部、担保が必要な保証制度もあります。

大企業の新規事業部門は対象になりにくい

上記のとおり、制度の対象は中小企業・小規模事業者です。大企業の社内で進める新規事業の資金に使うものではありません。後述する「スタートアップ創出促進保証」なども、中小企業庁の説明では分社化による設立が対象に含まれますが、保証制度の対象となる中小企業者であることが前提になります。子会社や合弁会社として切り出す場合は、企業規模の要件を満たすかどうかを、管轄の信用保証協会に確認してください。

信用保証料

保証を受ける対価として、事業者は信用保証料を支払います。融資実行時に金融機関を経由して支払う仕組みで、全国信用保証協会連合会は、信用保証料のほかに費用を受け取ることはないとしています。

料率は、事業者の経営状況に応じた9つの区分から適用されます。担保の提供がある場合などには割引があり、経営者保証を提供しないことを選ぶ制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)を使う場合は割増になります。具体的な料率は保証制度と協会によって異なるため、申込先の協会で確認します。

資金計画を立てるときは、利息だけでなく信用保証料も借入コストに含めて比べることが大切です。

創業期に使える保証制度

全国信用保証協会連合会の「創業をお考えの方」のページでは、次の3つが紹介されています。3つは併用でき、併用した場合の保証限度額は合計で3,500万円です。

創業関連保証

個人による創業や、新たに法人を設立して行う事業に必要な資金を調達するときの保証制度です。保証限度額は3,500万円です。対象には次のような方が含まれます(一部を抜粋)。

  • 事業を営んでいない個人で、1か月以内に事業を開始する具体的計画がある方
  • 事業を営んでいない個人で、2か月以内に法人を設立し事業を開始する具体的計画がある方
  • 分社化により別法人を設立して事業を開始する予定の法人
  • 創業または設立から5年未満の個人・法人

市区町村の認定特定創業支援等事業により支援を受けて創業する場合は、上記の「1か月以内」「2か月以内」が「6月以内」になります。

再挑戦支援保証

経営状況の悪化で過去の事業を廃止した、または会社を解散した経験がある方の再挑戦を支援する制度です。廃業・解散から5年未満であることが条件で、保証限度額は3,500万円です。創業関連保証と異なり、分社化による創業には使えません。

スタートアップ創出促進保証制度

経営者が会社の連帯保証人にならなくてよい保証制度です。創業関連保証の保証料率(各協会所定)に0.2%を上乗せする仕組みで、保証限度額は3,500万円です。対象は法人の設立予定者、分社化の予定者、設立や法人成りから5年未満の法人などで、対象の一覧に、個人事業主として創業する場合は含まれていません。

中小企業庁の発表(2023年2月)では、次のような要件も示されています。

  • 専用様式の創業計画書を提出すること
  • 税務申告を1期終えていない創業者は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を持っていること
  • 融資を受けた後、原則として設立3年目と5年目に「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」による確認を受けること
  • 保証期間は10年以内、据置期間は1年以内(一定の条件で3年以内)

経営者保証を付けずに済むかどうかは、創業者にとって大きな違いです。自己資金の要件と、設立後のガバナンス確認まで含めて検討します。

申込から返済までの流れ

全国信用保証協会連合会が示す代表的な流れは次のとおりです。

  1. 申込:金融機関の窓口で融資を申し込む際に保証の申込手続きをする方法と、信用保証協会に直接相談して申し込む方法があります。地方自治体や商工会・商工会議所で受け付けている場合もあります
  2. 保証審査:信用保証協会が審査します。訪問や面談が行われることがあります
  3. 保証承諾:保証が適当と認められると、協会が金融機関に「信用保証書」を発行します
  4. 融資実行:信用保証書の条件に沿って金融機関が融資します。このとき信用保証委託契約書を提出し、信用保証料を支払います
  5. 返済:返済条件に基づき金融機関に返済します

申込時の主な提出書類として、信用保証委託申込書、申込人(企業)概要、確定申告書(決算書)、商業登記簿謄本、印鑑証明書などが挙げられています。創業時は経営実績がないため、創業計画書が必要です。ひな形があるので協会に相談するよう案内されています。

自治体の制度融資とのつながり

都道府県や市区町村が金融機関・信用保証協会と連携して行う「制度融資」には、信用保証協会の保証が付くものがあります。東京都の場合、東京都の創業助成事業の申請要件の一つに、東京都中小企業制度融資(創業)や、都内区市町村の創業者向けの保証付き制度融資の利用が含まれています。融資を検討するときは、地元の自治体の制度融資もあわせて調べておくと、他の支援策の要件にもつながることがあります。

日本政策金融公庫の創業融資との使い分け

創業期の融資のもう一つの柱が日本政策金融公庫です。公庫は自ら貸し付ける政府系金融機関で、保証付融資は民間金融機関の融資に信用保証協会の保証を付ける仕組みです。どちらか一方に決める前に、両方の条件を並べて比べるのが基本です。公庫の制度は創業融資の基本:日本政策金融公庫の制度を中心にで、融資・出資・補助金を含めた全体像は新規事業のお金の集め方で解説しています。

選ぶときは、次の点を並べて比べると判断しやすくなります。

  • 金利と信用保証料を合わせた実質的な借入コスト
  • 経営者保証の有無と、その条件(上乗せ料率、自己資金、ガバナンス確認など)
  • 据置期間と返済期間
  • 今後の取引関係(地元の金融機関と関係を作りたいかどうか)

注意したい点

  • 借りたお金は、代位弁済が行われても返済する義務があります
  • 保証の対象は事業資金に限られます。個人的な用途には使えません
  • 信用保証協会は、金融機関が新しい融資で既存の貸付を回収すること(旧債振替)を制限しています
  • 制度の名称や条件、限度額は協会や時期によって変わることがあります。申込前に管轄の協会の最新情報を確認します

制度は改定されます。申請・契約の前に公式情報と専門家(税理士など該当するもの)に確認してください。

参考資料

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