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共同創業者の探し方と、組む前に決めておくこと

共同創業者は、声をかける前に「自分に足りない役割」を言語化し、組む前に一緒に小さな仕事をして相性を確かめるのが基本です。そして正式に組むときには、株式の持ち分、役割と意思決定の分担、途中で誰かが抜けるときの株式の扱いを、口約束ではなく書面(創業株主間契約)で決めておきます。

この記事では、共同創業者が必要かどうかの判断から、探し方、見極め方、最初に決めておく項目までを順に説明します。

共同創業者は本当に必要か

最初に確認したいのは「共同創業者でなければ埋められない役割なのか」という点です。共同創業者は株式を持ち、会社の意思決定に深く関わる存在です。業務委託や副業のメンバー、最初の社員で足りる役割であれば、株式を分ける必要はありません。

共同創業者を探す意味が大きいのは、次のような場合です。

  • 事業の中核になる能力(プロダクト開発、特定業界の営業、研究開発など)を創業者本人が持っておらず、外注では競争力の源泉にならない
  • 資金調達や採用の場面で「このチームなら実行できる」と示す必要がある
  • 一人で判断を抱え込むと意思決定の質や速度が落ちることを自覚している

逆に、「一人だと不安だから」「友人と一緒にやりたいから」という理由だけで組むと、後で役割や持ち分をめぐって揉めやすくなります。最初のメンバー全体の設計は新規事業の最初のチームの作り方も参考にしてください。

足りない役割を言語化する

探し始める前に、次の3点を紙に書き出します。

  1. 事業の仮説と、これから1〜2年で検証・実行すべきこと
  2. そのうち自分が得意なこと、苦手なこと、時間を割けないこと
  3. 相手に期待する役割と、その役割で「できている状態」の具体像

例えば「エンジニアの共同創業者がほしい」では粒度が粗すぎます。「顧客インタビューで出た要件をもとに、2〜3か月で有料で使ってもらえる最初のプロダクトを自分で作れる人」のように、成果のイメージまで書くと、候補者との会話がかみ合いやすくなります。

役割が補完的であることは大切ですが、価値観やリスクの取り方が大きく違うと長続きしません。スキルの補完と、事業に賭ける覚悟・働き方・お金に対する考え方の一致は、別々に確認します。

探し方

過去に一緒に働いた人から探す

もっとも確度が高いのは、前職の同僚、学生時代の研究やプロジェクトの仲間など、実際に一緒に仕事をしたことがある人です。仕事の進め方や、うまくいかないときの振る舞いをすでに知っているため、見極めのコストが小さくなります。まず、この範囲で候補を洗い出します。

紹介を頼む

直接の知り合いにいなければ、信頼できる人に「こういう役割の人を探している」と具体的に伝えて紹介を依頼します。先ほど言語化した役割の説明がそのまま紹介依頼の文面になります。

人が集まる場に出る

起業家向けのコミュニティ、アクセラレーターやインキュベーションのプログラム、業界の勉強会、技術系のイベントなど、同じ関心を持つ人が集まる場所に継続して顔を出す方法です。単発で名刺交換をするより、同じ場で繰り返し会い、議論や作業を一緒にすることで相手を知ることができます。

マッチングサービスを使う

共同創業者探しを目的にしたマッチングの場もあります。接点を増やすには有効ですが、初対面の相手と短期間で深い信頼関係を築くのは簡単ではありません。後述する「試しに一緒に働く」期間を必ず設けてください。

見極め方:いきなり組まずに、小さく一緒に働く

候補者が見つかっても、すぐに会社を一緒に設立したり株式を分けたりするのは避けます。まずは期間とテーマを区切って、実際の仕事を一緒にしてみます。

  • 顧客ヒアリングを一緒に10件程度こなし、仮説を一緒に見直す
  • 簡単なプロトタイプを作り、見込み顧客に見せる
  • 事業計画や資金調達の資料を一緒に作る

この過程で確認したいのは、次のような点です。

  • 約束した期限と品質を守るか
  • 意見が割れたときに、根拠をもって議論し、決まったことに従えるか
  • 悪い情報(顧客に否定された、作業が遅れている)を早く共有するか
  • どれくらいの時間をこの事業に使えるのか。本業を辞める時期、生活費の見通し、家族の理解はどうか

特に最後の点は、話しにくくても最初に確認します。一方がフルタイム、もう一方が週末だけという状態が長く続くと、貢献度の差が不満につながります。

組む前に決めておくこと

一緒にやると決めたら、次の項目を話し合い、書面に残します。

役割と意思決定の分担

誰が代表者になるか、誰がどの領域の最終決定権を持つか、意見が割れたときに最後は誰が決めるか。「対等なパートナー」という言葉は響きがよいのですが、最終決定者がいない状態は意思決定を止めます。

株式の持ち分

持ち分は、これまでの貢献よりも、これから先の役割と責任、リスクの取り方をもとに話し合います。話しにくいからといって機械的に均等に分けると、後で資金調達や意思決定の場面で問題になることがあります。外部から資金を調達すれば創業者の持ち分は下がっていくため、将来の調達や、社員へのストックオプションのための枠も視野に入れて考えます。

途中で誰かが抜けるときの株式の扱い(創業株主間契約)

経済産業省の「スタートアップの成長に向けたインセンティブ報酬ガイダンス」(2025年2月)は、創業期のモデルケースの中で、創業者の誰かが途中で離れる場合やトラブルに備えて、経営者間で創業株主間契約を締結すべきだとしています。そこでは、離職した場合の株式の買取条件と、その際の価格の決め方(取得価格にするか、あらかじめ定めた方法で公正な価値を算定するか)をルールとして決めておくこと、競合会社への転職や反社会的勢力との関わりが認められた場合に会社が無償で取得する、といった条件を明確かつ具体的に書くことが挙げられています。

これを決めずに共同創業者が早期に抜けると、事業に関わっていない人が多くの株式を持ったまま残り、その後の資金調達や採用の妨げになります。一定期間在籍することで持ち分が確定していくような設計(ベスティング)を入れるかどうかも、このときに話し合います。

報酬と時間の使い方

創業期の役員報酬の水準、本業を辞める時期、副業を続けるかどうか。お金の話は後回しにしがちですが、生活の前提が違えば事業へのコミットメントも変わります。

知的財産と競業

創業前に各自が作っていたコードや資料、ノウハウを会社に帰属させるか。抜けた後に同じ領域で事業を始めてよいか。これらも最初に決めておきます。

会社の形と設立の段取り

誰がいくら出資し、どの時点で会社を設立するか。設立手続の流れは株式会社設立の手順と必要書類で説明しています。

書面にする理由

創業時は関係が良好なので、書面にすることを「相手を信用していないようで気まずい」と感じる人は少なくありません。しかし、揉めるのは関係が悪くなってからです。関係が良好なうちに、冷静に条件を決めておくほうが、お互いを守ることになります。

契約書のひな形を見よう見まねで使うのではなく、株式や契約に詳しい弁護士、税務の扱いについては税理士に確認しながら作成してください。制度や実務の扱いは変わることがあるため、契約の前に公式情報と専門家に確認してください。

まとめ

  • 共同創業者でなければ埋められない役割かを先に確認する
  • 足りない役割を「できている状態」まで具体的に書き出してから探す
  • 過去に一緒に働いた人、紹介、継続的に参加するコミュニティの順に当たる
  • いきなり組まず、期間を区切って一緒に仕事をして確かめる
  • 役割と最終決定者、持ち分、離脱時の株式の扱い、報酬、知的財産を書面で決める

参考資料

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